〔19-Ⅳ 平安をさえぎるもの〔奇跡のコース テキスト編 日本語訳〕からの続き〕
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奇跡講座(奇跡のコース)テキスト編19章4-A 第1の障害‐それを取り除きたいという欲求 本文
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平安の流れが越えなければならない第一の障害は、平安を取り除きたいというあなたの欲求そのものです。
なぜなら、あなたが平安を持ちつづけないかぎり、平安は拡張していくことはできないからです。
あなたがその中心であり、それはそこから外に向かって放射され、そこに他の者を招じ入れるのです。
あなたはいわば平安の故郷であり、平安の静かな住み処であり、そこから平安は穏やかに広がっていくのですが、決してあなたからのもとから去りはしません。
もしあなたが平安を家から追い出したいなら、どのようにして平安は神の子のなかに留まることができるでしょうか。
被造物全体にくまなく広がっていくには、平安はあなたから始まらなければならないのです。
そしてそれは、呼びかけている誰のところにでも達し、あなたとつなげることによって、その一人ひとりに休息がもたらされなければなりません。
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どうしてあなたは平安を家から追い出したいのでしょうか。
あなたと一緒に居るために、平安が何を取り上げると、あなたは思っているのでしょうか。
あなたがそれほどまでに支払いたくない代価とは、何なのでしょうか。
あなたときょうだいの間には、砂でできた小さな防壁がいまだに立ちはだかっています。
あなたは今、それを補強したいのでしょうか。
あなたは自分自身だけのために、それを手放すように求められているのではありません。
キリストは、 キリスト自身のために、あなたにそれを求めているのです。
キリストがすべての人に平安をもたらしたいと思っていますが、あなたを通してそれをする以外に、どうすれば、これができるでしょうか。
あなたは、きょうだいたちと 救済の間を、小さな砂の堤防や、塵でできた壁や、ちっぽけな防壁らしきもので、遮りたいのでしょうか。
とはいえ、あなたが今でもきょうだいに対して抱いているこの小さな攻撃心の名残こそが、あなたの内なる平安が広がろうとするときに遭遇することになる第一の障害に他なりません。
この憎しみでできた小さな壁が依然として神の意志に対抗し、平安を限られたものにしておこうとします。
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聖霊の目的はあなたの内なる平安の中に留まっています。
しかしあなたは、今でもまだ、それを全面的に自分とつながらせたいとは思ってはいません。
あなたは未だに、ほんの少しだけとはいえ、神の意志に対抗しています。
そしてその「少し」が、あなたが全体の上に課そうとしている制限です。
神の意志は一つであり、いろいろあるのではありません。
それ以外にはなにもなく、それに対立するものはありません。
あなたが自分の小さな障壁の後ろに今でも封じ込めておき、きょうだいから離しておこうとしているものは、宇宙より威力があるかのように見えます。
というのも、そんな障壁が宇宙と創造主を抑えつけようとするからです。
こんな小さな壁が、天国の目的を隠し、同時に天国自体から離しておこうとしています。
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あなたは 救済を与える者から、むりやり 救済を押しのけたいのでしょうか。
というのも、あなたにはそうしたものになったからです。
平安が神のもとから去ることができないのと同様に、あなたのもとを去ることもできません。
こんな小さな障害を恐れてはなりません。
それは神の意志を封じ込めることはできません。
平安はそれを越えて流れていき、邪魔されることなくあなたと一つになるでしょう。
救済があなたに与えられないままになることは有り得ません。
それはあなたの目的です。
あなたはこの目的から離れて選択することなどできません。
あなたにはきょうだいと離れた目的などなく、 聖霊に分かち合ってほしい、と自ら求めた目的から離れた目的もありません。
その小さな壁は、平安の翼の下で、音もなく崩れ落ちるでしょう。
平安はあなたのもとから全世界にその使者たちを送り出します。
そして、彼らの訪れを前にすれば、そんな防壁は崩れ去り、それと同じようにたやすく、あなたが差し挟む障害も乗り越えられるでしょう。
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世に勝つとは、あなたの小さな壁を乗り越えること以上に難しいことではありません。
なぜなら、あなたの聖なる関係という奇跡の中には、そんな防壁がなく、あらゆる奇跡が含包されているからです。
奇跡には難しさの順序などないというのも、奇跡は全部おなじだからです。
その一つひとつが、愛の魅力が罪悪の魅力を凌駕する優しい勝利に他なりません。
こうしたことがどこで行われようと、これが達成されないことがあり得るでしょうか。
罪悪がそれに対して真の防壁を築くことはできません。
そしてあなたときょうだいのあいだに遮るように思えるものはすべて、あなたが応えたそのものの魅力ゆえに、崩れ去らないわけにはいかないでしょう。
応えたあなたから、あなたに応えた 聖霊が呼びかけてくれるでしょう。
聖霊の宿る家は、あなたの神聖な関係の中にあります。
聖霊と神聖な目的の間を遮ろうとしてはなりません。
それはあなたの目的だからです。
ただ、あなたの関係の奇跡を、それが与えられるままに、その中に含まれているすべての者へと、 聖霊によって優しく拡張してもらいなさい。
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天国の静寂の中に、幸せの期待があります。
それは、あなたの旅路の終わりを確認して喜ぶひとときです。
あなたが天国を知っているように、天国もあなたをよく知っているからです。
今、あなたときょうだいの間を遮る幻想は一つもありません。
影でできた小さな壁に目を向けてはなりません。
その上には太陽が昇っています。
影があなたを太陽から離しておくことなどできません。
それと同じように、幻想を終わらせる光から、影によってあなたが離しておかれることも有り得ません。
一つひとつの奇跡が、単に幻想の終わりを意味するに他なりません。
この旅路とはそんなものであったし、その終わりもそんなものなのです。
そしてあなたが受け入れた真理というゴールにおいて、すべての幻想に必ず終わりが来ます。
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あなた自身が招き入れた 聖霊を追い払い、外に出したいという正気とは言えない小さな願望は、葛藤を生み出させざるを得ません。
あなたがこの世界を眺めるとき、根こそぎにされて浮き草のごとく漂うこの小さな願望は、今ではなんの目的も持たないので、どんなものの上にでも舞い降り、一時的にそこに留まることはありえます。
聖霊が入ってきてあなたと共に居るようになるまでは、その願望に強力な目的がありました。
すなわち、罪とその結果に対する強固とした不変の献身という目的です。
今では、それはあてどなく無意味にさまよっており、愛の魅力もほんの少しの間、妨げるだけのものです。
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この羽根のごとき願望、ちっぽけな幻想、罪への信念の微々たる残骸だけが、かつては世界そのものだと見えていたものの遺物のすべてです。
それはもはや容赦なく平安を妨げる防壁でなくなっています。
無意味にさまよっているものは、それが及ぼす影響を以前にくらべて不規則で予測不可能なものに見せています。
しかし、厳密に構築された妄想体系以上に不安定なものが他にあるでしょうか。
あのみせかけの安定性が、その体系全体に浸透した虚弱さであり、それがすべてのものに及んでいます。
取るに足らない遺物が引き起こす変わりやすさは、単にそんな体系がもたらす成果が限られていることを示すに過ぎません。
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真理の大いなる翼を前で、一片の小さな羽根にどれだけの力があるというのでしょうか。
それは、鷲が飛ぶのに対抗したり、夏の訪れを妨げたりできるでしょうか。
雪に覆われた庭を夏の太陽がとかしてしまうのを、妨害できるでしょうか。
そんな取るに足らないものが、いかにいとも容易く持ち上げられ、運び去られ、二度と戻ってこなくなるのを見なさい。
そして、後悔ではなく喜びをもって、それに別れを告げなさい。
なぜなら、それは無であり、あなたがそれによって護られるものともっと信じていたときにも、それはなにも表していなかったからです。
消えゆく雪片をじっとながめ、冬の寒さを思い出して震えるよりも、夏の太陽に挨拶するほうが望ましくはないでしょうか。
〔19-4-A i 罪悪の魅力〔奇跡のコース テキスト編〕に続く〕
奇跡講座(奇跡のコース) テキスト編19章目次
19-4-B 第二の障害‐「 身体はそれが提供するもののゆえに価値がある」という信念